冷え・のぼせ（ほてり）

冷えについて

「冷え性」と「冷え症」

冷えには「冷え性」と「冷え症」があり、前者は体質的なものでご本人まったく気に掛けておられないことも多く、病的な冷えではないものです。一方の冷え症は、冷えのほかに頭痛・不眠・貧血・疲れ易いといった症状を伴うケースや、低血圧症・婦人科疾患・甲状腺機能低下などの病気を患っておられるなど、原因が明らかに病的なもので日常生活にも支障を来たすものです。

冷え症の特徴と原因

発症の多くが女性で、10代からの発症では、母親からの遺伝的なものが多く低血圧症や貧血などが発症要因となります。冷えを感じる部位は足先が圧倒的に多く、次いで腰・下肢・手など

若年から更年期にかけての発症では、月経困難症や月経過多症あるいは子宮発育不全といった婦人科疾患または自律神経失調および更年期障害などの一症状として現れるケースが多く、さらに甲状腺機能低下症や心身症などによって症状が助長されてしまうことがあります。

冷えのある方は要注意

白砂糖・小麦・南国のフルーツには身体を冷やす作用があります。

我々日本人が寒いと感じる季節に、カフェの屋外に設置されたテーブルで半袖半パン姿でコーヒーを飲む外国人（白人の方）の姿をよく見かけると思います。あれは我々黄色人種に比べ白人は体温が高い傾向にあるからです。パンやパスタなどの小麦を食す文化は、体温調節を図るため知らず知らずに根付いたもので、体温が低い我々日本人がおいしいからといって同じように摂っていると当然体は冷えやすくなり、もともと冷えのある方ではさらに症状を悪化させてしまう事にも繋がりかねません。また、南国フルーツに関しては、暑い気候に順応するため体を冷そうとこちらも必然的に根付いた食文化だと言え、日本の風土には合わないものなのです。

のぼせ（ほてり）について

「のぼせ」と「ほてり」

のぼせはイライラなどによって気血が逆上することで頭部や顔面部に火照りが現れるものをのぼせと言い、ほてりは、手足・背中・時に顔面部などあらゆる箇所に感じられる熱感の事を言います。

「のぼせ」東洋医学の観点から

東洋医学では怒りやイライラといった情動（精神的ストレス）は肝臓を主る気を暴走させると考えます。肝気は上へ上りやすい性質を持ち、気が逆上することで頭部や顔面にのぼせが生じるというメカニズムです。

ほてりの原因

原因疾患には自律神経失調症・更年期障害・甲状腺機能亢進症などがあります。

全体的に自律神経が過敏な方は顔面部のほてりが起こりやすい傾向にあり、更年期では自律神経やホルモンバランスの乱れによって起こるさまざまな不定愁訴のひとつとしてのぼせやほてりの症状が現れるケースがよくあります。ホットフラッシュもそのひとつです。また甲状腺機能亢進症（バセドウ氏病）では甲状腺ホルモンの過剰分泌によって身体が常に活動状態に置かれることで頻脈・息切れ・イライラ・発汗異常・ほてりなどの症状が現れます。